「これ本当は俺のものじゃないけど,でも返して~」
という,実務を知らない僕らからすると盗っ人猛々しいというか,およそ一般的な知性では理解できない極度に高尚な理念があるじゃないですか。
占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。という,アレです。
しかしですね皆さん……これっておかしくないですか?
いや,妥当か否かという話じゃないのです。
そもそも占有権って,本権の有無とは無関係に存在するものですよね。僕の使ってる極テキストには,
事実上の支配自体を権利として保護する制度(民法Ⅱp.164)と書いてあります。そして,占有権の消滅事由については,
専有の意思(自己のためにする意思)を放棄 or 所有を失う(203)(同p.185)と書いてあるんですよ。
つまり,
占有回収の訴えをする
= 占有を失っている
=占有権を失っている
=占有権に基づく権利は行使できない
と考えられるのです!(ドン!)←わかる人にはわかるやつ
もうこれは凄いことじゃないですか。たかだか一人のフリーター受験生が,民法の基盤を揺るがす大発見をしたと,僕は小躍りしましたね。
しかし,このことを皆さんに報告しようと思ったのですが,以前T氏に「君の考えは,第何条について言っているの?」と言われて完全ぐぬぬ状態になりましたので,今回は先まわりして条文を探しました。
占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。
正直,これは恐怖ですよ。
「僕ってサトラレなの?」って,一瞬思いましたからね。
怖いですねー占有回収の訴えを提起したときはこの限りじゃないんですねー「この限り」って何なんですかねー消えないってことですかねーそうなんでしょうねー。
残念ながら占有権を論破することは不可能なので,せめて覚えるべきことをしっかり覚えて,「占有権が嫌いなんだ。得意だけどね?」というイヤミなキャラを目指すことにします……。
しかし,逆に考えることもできないでしょうか?わざわざ但書をおくということは例外なわけで,つまり立法者もその矛盾(?)を認識していたと。僕は見事に痛いところを突いたと,そう考えることもできないでしょうか……。
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