国家難関資格たる司法書士試験を目指すみなさんにあっては,
そこで先達の意見を取り入れるために,知見をまとめた本を読むことになるでしょう。
本記事では,ぼくがこれまで読んだ勉強法に関する本のなかから,これは読んで損をしなかったというものをまとめます。
勉強することも大事,勉強のしかたを考えることも大事。どっちも大事。
司法書士試験の本
過去問中心主義の原点,柴田先生
古い本です。10年以上前の本です。古典です。
「最短最速で講座を聞き終える」「過去問のみを徹底的に反復する」という方法論の本です。ありていに言えば,「立ち止まらずに進める」「絞り込みと繰り返し」なのですが,この本にはそれ以上の深みがあります。
古典です。過去問中心で進めていきたい方は先駆者の話を聞いておくべきです。
テキスト中心主義の元祖,山本先生
テキスト中心主義とぼくはいいますが,読むとわかるように,山本先生は強いテキスト主義者ではありません。普通に,問題を解きまくっています。柴田先生の本がやや極端印象を受けるのに対して,山本先生は王道中の王道です。王道すぎてうまく説明できませんが,「しっかり理由を考える」方法論です。この先生はナチュラルに最強です。
テキスト中心主義の伝道師,松本先生
「テキスト主義は,山本先生が作り,松本先生が完成させた」とぼくは勝手に思っています。山本先生の本は,テキスト中心主義を成りたたせるための考えかたをていねいに説明します。これに対して松本先生は,テキスト中心主義を様々な方法で具体化しています。
ただ一点だけ注意したいのは,松本先生は短期間合格者であっても,短時間合格者ではありません。「げへへ,俺様はラクしてズルして合格してやるぜ」というかたは 厳しい現実を知ることになります。
いろんな合格者が書いた本
いわゆる合格体験記です。これほどネットに個人の合格体験記があふれるなか,書籍にどれほどの価値があるのか懐疑的なかたもいるでしょうが,やっぱり書籍は読むのがラクですよ。それぞれの合格体験記が同じくらいの分量で書かれていますし,
なお,エール出版のものは単純な合格体験記であるのに対して,『合格への軌跡』は伊藤塾講師による編集が加わっています。
司法書士試験以外の本
読み込みをする学習法
松本先生が上記の本で「 読み込み」をしないテキストの読み方を説いているのに対して,「7回読み」は文字通り読み込みをする方法論です(司法試験の勉強時には40回読んだそうです)。
書く勉強法
松本先生が「書くのは時間がかかるしコスパ悪い」みたいな感じで音読主義,アンチ筆記主義なのに対して,「ひたすら書く」方法論です(本書によると,司法試験合格者も採用しています)。
ワザ化という技法
これはオマケというか,ただのぼくの趣味です。
齋藤孝先生の中心概念は「ワザ化」です(「ワザ」=「技」「技術」)。
山本先生が山本先生の方法論を編み出したように,松本先生が松本先生の方法論を編み出したように,同じように,あなたはあなたの方法論を編み出せ。ゼロからオリジナルを編み出す必要はないが,既存の方法論に盲従することもない──という主張です。
齋藤先生の本は多すぎて「一人玉石混交状態」みたいになってますが,勉強に関する本は,さすが教育学者な感じで読んでて楽しいですね。大学生のころにいっぱい読んでました。
むかし流行ったドラッカー
これもオマケというか,ただの趣味です。
大学生のころ,就活&公務員試験を乗り切るにあたって役立った本です。知識はなにも残っていませんが,なにかこう,身がキリリと引き締まったことを覚えています。当時欲を出して『マネジメント[エッセンシャル版]』も買いましたが,こちらはデュープロセスみたいなノリでしたね。試験勉強ではないので,オートマシステムのノリの上本を読んでおけばいいと思います。
方法論とのつきあいかた
山本先生・松本先生の考えかた(過去問中心主義なら,柴田先生の考えかた)をベースにしつつ,そこに拘泥しないためのクギとして,合格体験記や一般の勉強法本を利用しましょう。
予備校の先生は説得的な文章を書くのがうまいので,読んでいると「この方法が絶対的に正しく,これでない方法は絶対的に誤り」というイメージになってきます。そこは,他の本でバランスを取ります。「正しい方法は,たくさんある。たくさんあるなかから,自分で選ぶ」というふうに考えていく。そうでないと,「正しい方法」とやらに自分が合わない場合,もう試験を諦めるしかなくなってしまいますからね。
この辺の話は,下の記事にもう少しくわしく書いています(本連載の趣旨も書いてあります)。
あるていどらくにいきたい: 勉強期間18ヶ月で不合格へと至ったぼくから,これから勉強をはじめるぼくへのアドバイス【ぼくぼくアドバイス】①おおいなる前提「理屈じゃねえんだよ。肌感覚だよ」 |
ぼくは大学生のころ塾講師をしていたこともあって,齋藤孝先生の本はかなり読みました。
……と話すと,ときたま「アイツの本は大したこと書いてない」的なことを言われるのですが,それは短見と言わざるを得ません。
確かに,齋藤先生の本は,とりたてて斬新なことは書かれていません。しかし,齋藤先生の核心はあくまで「ワザ化」であり,各論系の本は「ワザ化」の具体化に過ぎず,各論本を「なるほどー,齋藤先生はこうやってワザ化したのかー」と読めばかなり面白いのです。もちろん本をどう読もうと読者の勝手なので勝手に読めばいいのでしょうけど,「面白い」か「面白くない」かでいえばぼくは面白いほうがよく,面白く読む方法があるのでそう読んでいます。
なにが言いたいかというと,ぼくはむかし熱狂的な齋藤ファンでしたよ,ということなのです。
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