国家難関資格たる司法書士試験を目指すみなさんにあっては,予定を建て,実現するというシンプルな方法論の重要性を強く実感していることかと思います。そして,やはり予定の「実現」に関して
※ 「ノルマ達成の発想法」の概要をご存じないかたは下記の youtube から13分27秒で観ることができます。
それすらも面倒だというかたのためにカンタンに説明すると:
- 立てた予定から導かれる「ノルマ(進めるページ数や問題数)」を「必達」なものとして考える
- 個々の習熟度のバラツキを認める(諦める)ことで,時間を調整する
というものです。
「ノルマ達成の発想法」は魔法じゃない。不可能なノルマを達成できるようにするものじゃない。
「ノルマ達成の発想法」は,最強です。しかし 最強であるがゆえに盲点 があり,盲点があるがゆえにうまく活かせないことがあります。「不可能なノルマを回せてしまう」のです。
おなじみ 『司法書士5ヶ月合格法』 によると,司法書士試験は4か月の学習期間で合格し得るそうです。しかしこう考えるひともいるはずです。「そのペースでノルマ達成しようとすると,本当に字面を追うだけになっちゃうよ。頭に入らないよ」と。「俺は4か月ではなくて,16か月での合格を目指すよ」と。
こういうひとも,同じようにいるはずです。「1年で終えるペースの学習では,とてもじゃないけど,頭に入らないよ。俺は2年での合格を目指すよ」。
ここにくると不幸にも「もっとがんばれよ感」が出てきます。確かに,「最後は自分のがんばり次第」であって,「がんばって1年での合格を目指す」ことも場合によっては大切かもしれません。
しかし最後へと至る過程でぼくたちは様々な制約条件が課されています。人によって可処分時間は異なりますし,人によって認知の得手不得手があります。「2年よりがんばって1年!」というのはちょっと短絡的です。
※ 参考
あるていどらくにいきたい: 与えられた制約条件の「中」でやろう。「外」に出るな。 |
ここで問題なのは,他人から「もっとがんばれよ感」を抱かれることではありません(無視すりゃいいんですから)。自分自身がこれを抱き,ムリヤリな一年計画をたててしまうことです。「不可能なノルマ」を建ててしまうことです。
ここで「ノルマ達成の発想法」を使うと,不可能であるにもかかわらず,スケジュールは回ってしまいます(「ノルマ達成の発想法」の意義から当然に,絶対に回ります)。
しかし,「結局なにも理解しきれなかった」「ほとんど覚えられなかった」といった結果になるでしょう。あるいはスケジュールを回している段階で,日々,自分がなにも習熟しないまま次の範囲に進んでいる無気力感に悩まされるでしょう。
結局のところ,「不可能なノルマ」を達成しようとすれば,範囲をひととおり舐めることができる代わりに,習熟を犠牲にすることになります。「ノルマ達成の発想法」は自分に課された制約条件をとっぱらってくれる魔法の道具ではありませんし,不可能なノルマを達成するための方法論でもありません。
「ノルマ創出の発想法」で,ゴールから逆算せずに,自分から順算する。
そこでまず,「不可能なノルマのジレンマ」から脱し,達成可能なノルマを設定しなければなりません。達成可能なノルマを設定すれば,達成することができます。あとは冒頭に戻って,「ノルマ達成の発想法」で進めていきます。
ここで用いるのが,
具体的な方法は,次の通りです。
- 時間又は期間を区切って,勉強量を測定する
- 当該勉強量に,試験までの期間又は時間を乗ずる
- 納得のいく配分になるよう調整する
「1日で過去問を10題解けた」ことからは,「このままいけば1年で3650題解ける」ことがわかります。そこから「3650問の過去問を解いて合格するためには,何を,どの順番で解けばいいのか」を検討し(ここではゴールから逆算する),ノルマを定めます。過去問に限らず測定できるものなら基準にすることができます。
残念ながら,この方法で明らかになるのは「思っていたほどの勉強は,できない」ということです。ゴールから逆算する「理想の勉強量」には全然足りません。
そこではじめて,受験期間を延ばすのか,対象教材を絞るのか,反復回数を抑えるのか(,あるいは本当に学習量を増やすのか),選択することができます。「もっと頑張って4000題解く」と妄想していたころのぼくたちにこの選択肢はありませんでした。
誤解しないでいただきたいのですが,ぼくは「お気楽に,ほどほどに頑張れば大丈夫だよ」と言いたいのではありません。「できない量は,できないけど,それでもいいの?」と言いたいのです。
また,「合格水準は,主観的には不十分な状態である(やり残しがあっても合格する)」という話もあるでしょうが,ノルマ創出の段階で「不十分で不安が残る」地点を目標に定めることで解決できます。自分の処理能力を正しく認識して,合理的に目標を設定し,合理的に諦めましょう。これは「100を目指して80達成する」方法論ではありません。「80を目指して80を達成する」ことを前提に,よく考えて「80のノルマ」を設定する方法論です。
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これは大学生時代,公務員試験の勉強をしているときに使い始めた方法です。当時は15分ごとにタイマーで区切って,実績をメモして,「15分1ユニットで学習できる量」「1日で学習できるユニット数」から「試験当日までに学習できる量」を把握していました。
これをやってわかったのは「あきれるほどに勉強量は足りない」ということでした。『スーパー過去問』とかいうデカい過去問集を使っていましたが,絶対反復できないと気付き,『70点で合格』とかいう薄い過去問集に移行しましたね。
そして僕の今年の本試験に対する反省でいえば,「教材が多すぎた」という,つまり「絞り込みが不十分だった」という,ありきたりな反省点です。なぜこのありきたりな反省が起こってしまうかといえば,「多い」は感覚であり,どこからが「多い」となるのかの判断がかなり難しいからなのです。来年度は教材を絞る,ということについて,今度書きます。
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※ 【ぼくぼくアドバイス】の意義については,こちらの記事をご覧ください。
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