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2014-01-06

民法過去問/平成18-4-エ/夫婦間における無権代理・表見代理

問題と解答を掲載。

●問題
Bの妻Aは、Bの実印を無断で使用して、Aを代理人とする旨のB名義の委任状を作成した上で、Bの代理人としてB所有の土地をCに売却した。この場合、Aに売却の権限なかったことにつきCが善意無過失であったときは、Cは、当該土地の所有権を取得することができる。

●解答 ×
当該行為が当該夫婦の日常化時の範囲内に属すると第三者が信じるにつき正答な理由がある場合には、§110の趣旨を類推して第三者の保護を図る。 

第110条(権限外の行為の表見代理)前条本文の規定(代理権限授与の表示による表見代理の規定)は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

●疑問点
§110(権限踰越型)についての説明は理解できる。
 しかし、本件の問題点はあくまで「Cが当該土地の所有権を取得できる」=「Aの行為につき表見代理が成立する」ということのはずである。
そうであるならば、表見代理には§109(授権表示型)もあり、そちらで保護することも可能ではないのか。

そう思って§109を見た。

第109条 (代理権授与の表示による表見代理)
第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

てっきり授権表示型とは、
  • 代理人と自ら名乗る者が自己に代理権のあることを表示した場合
だと思っていたが、
  • 本人が(代理権を与えていないにも関わらず)第三者に代理権を与えた旨を表示した場合
であった。

あまりにも迂闊である

表権代理が第三者保護のための規定であるため、最初の理解に疑問が生じなかったのである(ずいぶんと本人は可哀想だなとは感じていたが)。


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