国家難関資格たる司法書士試験を目指すみなさんにあっては,それぞれが「僕の考える司法書士像」といったものを持っていることかと思います。そしてしばらく勉強して,もはや「登記」という言葉に何の違和感もなくなったころ,「司法書士って何やる人?」と聞かれ,世間の認識とのギャップに気づくことかと思います。
司法修習生のT氏によると,一般人女性の司法書士に対するイメージは「借金をなんとかしてくれる人」だというものらしいです(T氏の体験だそうです)。
何と言えば分かりやすいんですかね。
僕が先日,建築系公務員の友人とお酒を飲んでいたとき,建築の話から登記の話になり,相続の話にもなり(給付金を支給する際等,登記名義人と実際に住んでいる人が違うことが多いらしいです。不動産登記法,もっと頑張れ),そして聞かれてしまったのです。
知人「司法書士って何やる人?」
訴訟ができない弁護士だよ
とりあえず僕は「う~ん,訴訟ができない版の弁護士。訴訟はできないけど,法律に詳しいひと」といった旨を答えました。
いえ,分かっていますよ。訴訟できますよね(書士法3条6項)。そして訴訟以外にもできないこといっぱいありそうですよね。なんなら「全然ちがいます」とでも言われますよね。
でもですね,「登記するひとだよ」「成年後見するひとだよ」といった答えで,果たして分かってもらえるのでしょうか? むしろこうした諸々の要素をとりあえずまとめて「訴訟のできない弁護士」と言ってしまったほうが,分かりやすいこともあるのではないでしょうか?
訴訟なんてできなくていいよ
なぜかは知りませんが,司法書士のウリ文句として「町医者」「町の法律家」みたいなことをとてもよく聞くのです。これって「身近さ」をセールスポイントにしてるわけですよね。
他方,訴訟って,いかにも身近じゃないですよ。現に,そのときの友人は「訴訟なんてしないもんね」と言ってましたよ。僕の親族にも訴訟経験者いないですよ。
これは後付けの理論ですが,「訴訟」という身近でないものを遠ざけることによって,マイナス×マイナス=プラスの理論によって,司法書士の身近さを際立たせることができると思うのです。
で,もし実際「ほんとにできないの?」と聞かれたり,「訴訟したいんだけど」と言われたら,「できるやつもあるわよ」と,ボソッと言えばいいんじゃないでしょうか。
司法書士っていいね
司法書士って,いいですね。
そのときの友人との結論としては「一般のひとがあまり知らないことを自分が知っていて,それを仕事にできるって,なんだか楽しいね」というものでした。雑学を披露するような気持ちなんですかね。
今年合格されたみなさんにあっては,僕は「いいなあ~,すげえな~,羨ましいな~」といつも思っています。すでに司法書士として活躍しているみなさんにあっては,僕は「すげえな~,かっこいいな~」といつも尊敬しています。
司法書士って,いいですね。
僕も来年の合格に向けて全力を尽くしたいと思います。
ちなみに「相続したとして……」という話がありましたが,とても面白かったです。
法定相続と遺言相続があり,遺産分割があり,遺贈があり,遺留分があり……。「原則としては,こうなる」「じゃあ,こういうこと?」「例外もあってね」という,二重三重というか,なんかややこしいなあという気持ちと,意外と俺,覚えてるじゃん,という気持ちと,これどうやって説明すりゃいいのという気持ちがありました。
法律家のかたって凄いですね。ただの物知りオジサンではないんですね。